医院ブログと歯の豆知識

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その他2021.10.15

歯医者は何の為に歯医者をやるのか

歯科医師が何の為に歯科医師をやるのか?

本日、衆議院が解散になりました。衆議院議員の方は仕事を失った訳で、新たな職として国会議員の仕事を継続するには選挙で有権者に選ばれる必要があります。
例えその議員さんがどんなに崇高な思いを持っていて、能力が高くて、実績がある方でも、選挙で選ばれなければその能力を発揮出来ません。
とても厳しい世界だな、と思います。

それ故に選挙で勝つ事が重要なだけに報道で見ると、何故国会議員になりたいのか、それが社会の為になのか自分の為なのか分からないと感じる事もあります。

政治の世界の選挙にまつわるあれこれと似て、歯科の世界でも「何でこんな事するの?」というものもちらほら見ます。
歯科医院が約7万件ある中で生き残る為に必死なのは僕も生きるのに困った時期があるから理解できます。ただ妥当性があるか分からない治療を見ると、歯医者は何の為に歯医者をやるのか、それは人によって違うのでしょうが、国会議員さんは選挙は自分の価値を見直す機会としてありますが僕達歯科医師、特に院長は日々に埋没して見失ってしまっていないかと思ったのです。

今は労務の問題もあり、余程やる気のある先生でなければ若い先生は育ちにくい土壌になってしまいました。
未来ではこれから若い先生が歯科医師として成功していくのは、若い時期の過ごし方で大きな差が出来ます。
若い先生の中でも少数の志を早く持って行動した人に対し、周囲の若手と同じ様に普通に過ごしてしまったら、後で逆転する事は難しく、少数の勝ち組と多数の負け組になるのが今より加速すると予想します。

開業される先生は、人口も減るから患者さんも減り、スタッフを雇用するのに労働人口はもっと減る中で歯科医師、院長として存在価値を出していくのは今以上に医院の運営に苦労するでしょう。

そうすると、日々の苦しみの中で、ふと歯科医師は自分に問いかける様になると思います。

歯科医師は何の為にやっているのか

今やっている事は生き残る為なのか、社会の為なのか

勿論、国会議員と歯科医師では開かれている門戸の広さが全然違うので比較は出来ませんが歯科医院経営も基本は同じです。

国会議員が国民の為になっていなければならない様に、歯科医院がある事は患者利益になっていなくてはなりません。

そして

どんな思いや技術や実績を持とうとも患者さんが歯科医院に足を運んでくれなければ、僕達は仕事を継続出来ません。
歯科医院の多さで言うと、駅からはらデンタルクリニックに来るのに通る道ににコンビニは2件ですが歯科医院は7件あります。

開業当初の1ヶ月に来院された患者さんの数は約100人でした。
14年経ち、最近は1ヶ月に来られる患者さんの数は約1300人位です。
一般的な歯科医院は月に300人位が平均的な数字です。
平均的な医院と数値は随分違う様になりましたが開業当初に今を想像、想定していた歯科医院ではありません。今の当院みたいな医院で働いた事もありませんから、院長としての人生の最初から引退までもっと小さな医院をイメージしていました。
現在のはらデンタルクリニックは「こうなろう!」と目指した訳ではなくて、その時に困ったことを「何とかしなくてはいけない!」と必死に足掻いた歴史の結果であって、「安定した」、「うまくいっている」とか感じられた事は全くありません。
考える事の種類が変わっただけでむしろ心配事は増えていきます。

開業当初はとにかく患者さんに来てもらう事が心配事でした。
患者さんが来て頂けると歯科医療の質の向上に力を注ぎました。
患者さんが増えてスタッフを雇用しなければならないのになかなか採用できない事に悩みました。
患者さんに御迷惑はかけるけれど日曜日診療をやめたり、終わりの時間を早くしてスタッフを雇用しました。
雇用が出来たら教育が悩みの種でした。世代も性別も違えば価値観も違います。当然、人は僕の思い通りになんてなりません。
人がある程度育ってきたり、増えてきたら、育つ人の人数を増やして更に質を高めていく必要があります。
人が増えて目の届かない所が出て来ればチェック機構を構築する事が重要です。
歯科医療のキャリアは20年を超えてきましたが、毎年院長としては未知の領域の仕事が増えます。
困り事、悩み事の解決を事を続けていく中で「いつまでこれは続くのだろう?」と思うことがあります。
同業者の方に反感を買うかもしれませんが、まともな診療で患者さん利益を考えたら、歯科医院経営は利益率の悪い仕事だと思います。
一般的な歯科医院より患者さんが多い当院でそう感じるのだから、多くの歯科医院は「苦しい」はずです。
セラミックで治したから二度と虫歯にならない事はありません。
一度根尖病変が出来てしまっている歯に対してラバーダムをかけてマイクロスコープを使って根管治療をしても文献上は治癒率は6〜7割です。
インプラントは全身状態によっては邪魔になる事があります。
マウスピースによる矯正はかなり症例を選びます。
そんな事実は医院の売上を下げるので、語らない歯科医院も多いです。

厳しい環境の中で歯科医院経営を続ける理由は何か?

生活の為?

豊かになる為?

自己実現?

患者さんの為?

スタッフの為?

医院の発展の為?

子供に父としての後ろ姿を見せる為?

社会貢献?

全部事実です。

現場に一度立てば、目の前にいる患者さん、目の前にある仕事に集中するのですが、仕事に入る前にいつも気力と体力に満ち溢れている訳ではありません。

「辛いなあ」「いつまで続けるのかなあ」

気がつけば50歳近くなり以前と比べ若くない自分を感じ、メンタル的や体力的に辛くなる時もあります。

勤務医の頃

開業から患者さんが少なかった時期

初めての勤務医を雇用した時

増築をした時

スタッフが辞める時

患者さんに褒められる時

患者さんとうまくいかない時

治療が上手くいく時

治療がうまくいかない時

その都度、喜んだり凹んだり「何の為に歯科医師であるのか」モチベーションは違いました。

不惑の40と言いますが今でも日々の悩み事に対して、その時感じている心の状況、体調、疲労、外部的要因、などによって心はいつも揺さぶられます。

超前置きが長くなりましたが、「仕事は何の為?」という問いかけに対し例え10億円手元にあって経済的に働く理由がなくても、色んな事に疲れてしまっても歯科医院を続ける理由を改めて認識させてもらえた事があります。

患者さんに頂いた言葉でした。

「信頼できる」「今日来てよかった」「これからもずっと診てください」

頂いた言葉は本当にありがたいです。簡単に得られるものではない。

でも少しベテランになってそんな言葉を頂ける事に慣れてしまうと、そのありがたさを感じるよりうまくいかない事や辛い事への不満が心を支配してしまう時間がここのところ多かったのです。
僕自身が若い時にはあんなにありがたかった患者さんからもらえる感謝に慣れてしまい、歯科医院をやっている中で心のどこかで慢心があり原点から離れてしまっている事を今度の選挙報道の中での国会議員の方の記事から感じました。

別に当院は完璧でも全ての患者さんが支持してくれている訳でもない事は自覚しています。嫌な思いをされてアンチの方もいるだろうし改善もしなければいけない点は常にあります。

でもどの歯科医院でもなく、はらデンタルクリニックを特別だと思ってくれている患者さんがいる。院長である事を評価してくださる患者さんがいる。

それがこの場所で僕が歯科医師で院長である価値であり理由です。

お金だけならば投資や別のビジネスが上手になった方が間違いなく良い。
やり手の実業家の様には僕のやり方で歯科医院経営をビッグビジネスとして広げる事は出来ないし、月曜日から夜更かしの桐谷さんの方がお金の稼ぎ方は上手です。

そんな田舎の歯科医院が14年間悩んで歩んできた時間に対して、患者さんの言葉や気持ちが自分達にその道を歩んだ価値を与えてくれ、それは金額では計れないものでした。

だからこそ歯科医院の原点である歯科医療を一生懸命やる事を通じて患者さんからのありがたい評価や言葉をもらえる人間を増やす事にしていこう。そう思いました。