医院ブログと歯の豆知識

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その他2021.09.12

カンファレンス

カンファレンスって言うとえらく格好良い感じですが、簡単に言えば、患者さんのことを1人じゃなく皆で相談しましょう、情報をシェアしましょう、ってことです。

毎週月曜日は診療後にドクターカンファレンスを行っています。
毎週、診療で疲れている中嫌な顔一つせずに(本当はチッて思っているかもしれませんが)参加してくれています。
例えば1人の患者さんの治療計画を立てるに当たり、その工程までをそれぞれ考えて照らし合わせてみたりするんです。
そうすると、治療のゴールが同じだとしても、順番やコストや患者さんの肉体的な負担だったり、話すドクターによってバラバラな事も結構あります。これはある意味重要な事だと思います。

ディスカッションを行う為には患者さんのある程度の状態を記録した検査結果が必要です。
当院で口腔内写真、レントゲン写真、歯周病の検査結果、などをほぼ全員にかならずお願いするのは、皆で考えたり、比較したりする事が記録として残ったものの読み取りや比較をする必要があり、沢山考えるトレーニングをして判断力の向上を培う為にも、それがあることは患者さんが帰られた後のこのカンファレンスの場では必要不可欠だからです。

もし、照らし合わせてみてどのドクターも同じ計画ならばカンファレンスはいらないか、やったとしても医院としての方針が統一されているか、答え合わせ的な意味合いになると思いますが、今のところ結構違ったりするので、指導もディスカッションも出来ます。
一番キャリアが長くて色んな経験をしているのは当然院長の僕なんで、勿論「こういう方がいいんじゃない?」と勤務医の先生方に言う事も多いは多いんですが、矯正を一生懸命勉強したり、他で勉強してきたことを取り入れたりした勤務医の先生方の今思っている意見は聞くべきだと思っているし、歯科医師がある程度の人数がいるからこそ院長の僕に誤りがあったとしても勤務医の先生方が気付いてくれれば指摘してもらえる環境は大事だと思っています。その為には院長の僕が「聞く」という姿勢でいなければ勤務医の先生は院長にものが言いにくでしょう。ですので「違うな」と思っても、まず考えてもらい、最後まで話を聞いて見る事が大切です。

歯科医師という仕事は僕達の若い頃は今ならばブラックでして、給与なしで丁稚奉公のように働く先生もいらっしゃったし、診療が終わった後に練習や勉強をするものであり、そこには当然残業代も発生しなかった医院が殆どでした。
これからはそれでは通らない世の中になってきました。労働者の個人の権利が何よりも守られる様な法律の中で仕事のスキルやクオリティに関わらず、そこにいて作業している時間は生産性のある仕事でも、生産性のない練習でも残業になります。
だから診療の技術的には出来ないから、診療後に残って練習する、という事を繰り返すと、スキルが上がっているか否かに関係なく出来ない人が練習さえすれば収入が高くなるという、経営者からすると若手育成は何だかモヤモヤする状況になります。

ただ、時代が変わっても変わらない真理があります。
「練習した人が、練習した事が、数多く知識をインプットして、考えて自分の手を動かすトレーニングを繰り返した者が上手くなる」ということです。

勿論、元々の持っている知識・スキルの差はありますが、若いドクターで有ればそこまで大きな差ではないと思います。

多くの歯科医師は才能的には「普通」です。
普通の人が普通のことをすれば普通になれます。
でももし普通じゃない程の知識や技術やマネージメント力を身につけたくば、普通じゃないトレーニングが必要です。
ですから並外れた技術や知識を持つ術者だったり、いわゆる成功者は常識はずれの人の中から出るのです。

カンファレンスを必ず行う歯科医院は多くはないそうです。
うちの勤務医の先生はうちにいても、独立しても他に行ってもきちんと自分で考え、自信を持って歯科医師の道を歩んで欲しい。そんな思いから考えて言語化する場として歯科医師にはカンファレンスに参加することを診療後に義務化しています。

前述の通り時代は労働者を擁護して会社や経営者はブラックじゃないにしても、残業じゃなくスキルアップを環境作りの対応が厳しくなってきています。
雇われる方が余程の思いを持って取り組まない限りは、常識はずれにハングリーに頑張れる土壌ではなくなってきているので、あまりに待遇が恵まれているのももしかしたらかえって問題なのかもしれません。
僕は自分自身は若い時に苦労したことは財産だったと思っています。
うちを卒業した勤務医の先生方はいずれ「雇われる」立場から「雇う」立場へ、「教わる」立場から「指導する」立場になります。勤務医の先生方が独立するときには最初の立ち上げは仕方がないですが、基本的には歯科医師1人の歯科医院を開業することはリスクが大きく、今後は組織化、仕組み化された歯科医院を創る様に推奨しています。
その時にどういう教育マネージメントをするか、どんな医院の土壌を作るかは若いうちの経験がとても重要だと思います。

人は環境の生き物です。
より成長できる取り組みを考え、その中に身を置く事で成長をできる様な医院の文化にしていければと思います。