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医院ブログと歯の豆知識

CLINIC BLOG & TOOTH KNOWLEFGE

2021.09.05

見つけにくい虫歯のあった、ある患者さんから学んだ事

いつもお世話になっている治療院を経営されている患者さんが、「何もしなくても右側が上も下も痛い」という主訴で急患でお見えになりました。

以前当院で働いてくれていたスタッフの御主人です。
とても勉強している先生で、私やスタッフや家族もお世話になっており、ご紹介させて頂いた顎関節症の患者さんの口を開く様にして頂いた事もあります。
ご自身の体のことも良く分かっていらっしゃる患者さんなので、詳しい状況をお話し頂けました。
どの歯が痛いか、または歯が原因か分からないけれど右側の頬と下顎の下辺りが何もしなくても痛いとのこと。

仕事も忙しく、夜10時過ぎに仕事が終わり、あくる日家を出るのは朝6時と相当忙しくされている様です。
そんな事でストレスもあり、食いしばっているのかもしれないとのことでした。
歯なのか、食いしばりなのかを判断つきかねるとおっしゃっていました。

咬筋は頬骨と下顎下縁を結んでいるので噛み締めで痛みを生じる可能性があります。しかし、虫歯や歯周病の影響で痛みを生じる事もあります。正確な診断にはお話を聞く事に加えて固定観念を抜きにして客観的な事実を総合して診る事が大切なので検査をさせて頂きました。

お口の中を拝見して、視診と触診で痛みの場所を確認をしました。
目に見える穴や欠けているところ、ヒビなども確認できません。
歯周病の検査もしてみましたが、多少の出血はあるものの、自発痛を引き起こすものではないと判断をしました。
下顎のリンパ節の腫脹も外からの触診では可能性が低い様に思いました。
デンタルレントゲン写真でも大きく怪しいところは見つかりませんでした。

上顎は副鼻腔炎で痛む事があります。
また、以前のレントゲンで埋伏している親知らずがある事も分かっていたので、下顎の痛みは親知らずの可能性も考えられる為、CTで確認をしました。

そうすると、副鼻腔炎や埋伏歯の周囲の炎症を見つける事はできませんでしたが、デンタルX線写真ではあまり明確な影としては認知されなかったのですが、下顎第一大臼歯にそれなりに大きな虫歯が発見されました。

通常、歯髄に及ばない大きさの虫歯が原因で上顎に感染を及ぼす事はないし、下顎を腫れさせる事もありません。
しかし、色々調べても他に異常は見当たらない為、虫歯のの治療をさせて頂きました。

翌日、お痛みの状況をお聞きしてみました。

「お陰様で上顎骨の痛みはなくなりました。頬鎖乳突筋付近の痛みや腫れも大分良くなりました。」

という事でした。歯髄が炎症を起こしていたり、そこから根尖性歯周炎を起こしている場合に歯髄処置をした事で痛みを軽減させる事は数多くありますが、象牙質内の虫歯の治療で、上顎の痛みも下顎の痛みも取れるというのは私達が教わってきた西洋医学の歯科では説明がつきません。
でも、人の身体を診るお仕事をされている患者さんの言葉は説得力があります。

今回の虫歯はレントゲンでは確信を持って歯を削る理由という診断に至りませんでしたが、CTで治療をすべき虫歯の判断に至りました。それ位歯髄に至る大きな虫歯ではなかったにも関わらずこの様な症状の変化がありました。

僕達は歯科医学を勉強し、また前進的な医学の勉強も少し(医師と比べて)します。

痛みの発生のメカニズムについては、痛くなる原因を解決する事が基本になりますが、それでも痛みが取れない場合に「ペインクリニック」という痛みのコントロールを行う医療を行う所もあります。
痛みの発生のメカニズムは分からない事もあります。

歯科医療現場においては多くのシュチエーションで今まで学んできたことで対応出来ますが、今回の様に発見が難しかったり、理由が分からない事が起こる事もあります。
私達は神ではなく、いくら学んでも人間の身体を全て知り尽くしているわけではありません。
常に人間の体に対し謙虚な気持ちで臨まなくてはならないと思いました。

医学的に根拠や理論は私達の仕事を行う上で必ずその延長線上に、診断を下さなくてはならないものです。
その事は言うまでもなくとても大事ですが、説明が出来ないけれど悪くなったり、良くなったりすることもあります。起こった出来事を経験として蓄積する事も重要です。

今回の事は早速歯科医師、歯科衛生士にシェア致しました。
あらためて謙虚に人を診る事が大切だと教わった、良い勉強をさせて頂いたケースでした。