医院ブログと歯の豆知識

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その他2021.08.29

歯周病は遺伝するの?

歯周病のなりやすさは遺伝をします。
若くして(30〜40代で重度歯周病を患ってしまった患者さんにお子様がいらっしゃれば、若いうちから歯科医院にメインテナンスに通い、そもそも発症させない事がとても重要です。

また、自覚症状がなかったとしても、お父様やお母様が若くして歯を失った履歴のある方は既に発症している可能性もあるので注意する必要があります。

当院にも若くして重度歯周病を抱えていらっしゃる患者さんは沢山いらっしゃいます。
まだ若くして歯を失い、入れ歯になってしまう方はとても落胆されます。

歯が無くなったらインプラント治療で歯を作れば入れ歯にならないと安易に考えるのは間違いです。
歯が無くなった原因が歯周病であるならば、インプラントの周囲に炎症を起こし、せっかく高額な治療費をかけても早期に失ってしまう可能性があります。同じ人で同じ習慣ならば負の連鎖を生むリスクは高いです。

皆さん仰られるのは家族に(主にお子様に)こんな思いはさせたくないと仰ります。

お子様が同じように苦しまない様にするには10代から、歯科医院を予防の場として上手く使い、ご自身の普段の生活を歯周病を発症させないことです。

歯周病は10代後半にお口の中に定着する歯周病原因菌が歯肉縁下(歯と歯肉の間)で過剰に増殖する事によって、歯の周りの組織が炎症を起こす病気のことです。

歯周病病原因菌は、歯がなくなるまで(今では歯が無くなっても口の中に住み続けて報告もあります)体の中に住み続けます。

ずっと口の中にいるので歯周病は一度治療で軽減しても、再び細菌が増えれば再発をします。
ですから、人生が歯と共にある限り「細菌が増えすぎない様に取り続ける」必要があります。
一度、歯周基本治療や歯周外科手術などの治療を行って、症状が安定した後に歯周病を重症化させない為に歯石や細菌を取ったり、噛み合わせの調整をしたり、検査をして重症化していないか確認をする治療は歯周安定期治療(サポーティブペリオドンタルセラピー=SPT)といい、保険治療の中に組み込まれています。

誰でも歯を抜きたい人はいません。ですから、自分が歯周病だと分かっていれば治療をし、歯が無くならない様に歯周安定期治療を継続すると思います。

しかし人間は忘れる動物です。
痛くなかったり、歯がグラグラ揺れるなどの症状がなければ歯科医院から足が遠のく事になります。
危機感がなければわざわざ歯科医院に行きたくないのは当然のことだと思います。

歯周病の厄介なのは「自覚症状がない」こと、つまり「痛くない」まま進行していくことです。
治療する事なく進行した結果、歯を支える骨を失い、やがて歯を失うことになってしまいます。

後悔先に立たず

と言います。
人は問題が起きてからそれまでの過去を反省します。
それは僕も一緒です。

歯科医療従事者でも自分の健康を管理できていない事が沢山あります。
高血圧や胃腸の薬をちょくちょく飲み忘れたりします。
家族には「見守りが必要」と言われます。

勿論、良くない事だけれど、何故そうしてしまうのか自己分析をするとそれは差し当たって「困っていない」からです。

立派でもマメでもない僕だから、治療が継続出来ない患者さんの気持ちも分かります。
痛風の急性発作が起きてから、その薬は飲み忘れません。
超痛かったから、もう二度と耐えられないと思うからです。

歯も誰でも失いたくないですが、歯に対しての思いの強さは人により差があります。

不完全な人間という生き物だから、治療のゴールは患者さんの価値観や性格によって違って良いと思います。

ただ、患者さんが歯で困らない未来を望むならば、その患者さんそれぞれに応じたお手伝いを出来ればと思っています。