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医院ブログと歯の豆知識

CLINIC BLOG & TOOTH KNOWLEFGE

2021.05.24

残せる歯 残せない歯 の判断について

御紹介、あるいは色々調べて来られた患者さんの中で一番多い来院動機は
「他院で抜歯と言われたが、何とか残せないか?」
ということです。
これまで他院で抜歯と診断を受けながら残せる事が出来た歯もありますし、やはり抜歯という判断をしたものもあります。
残せる歯、残せない歯は何をもって判断しているのか?

それには抜歯の基準を知っていただく必要があります。

一般的に歯科医師が抜歯するという判断をするとき
① 骨の下まで虫歯が進んでしまった場合
② 歯を支える骨が失くなってしまった場合
③ 歯根が縦に割れてしまった場合
④ その歯を残すことで周りの歯に悪い影響が及ぶ場合
⑤ 統計的に残す事が良い結果を生まないと思われる場合

逆に残せるということは、この抜歯せざるを得ない理由が解決出来るか、ということです。

① 骨の下まで虫歯になってしまうと、土台(コア)や被せ物を接着するときに必ず血液や浸出液が接着面に付いてしまいます。その部分はいかなる材料でも接着できません。接着しない部分から細菌が入り込み、虫歯を作ったり病変を作ります。もしこれを解決しようとするには骨や歯肉の上に歯質が出ている状態にする必要があります。

その方法は
⑴骨を削り、歯肉を切って下げて、歯を出す。
⑵骨の中にある歯を矯正で、骨、歯肉の上に引っ張り出す。

これが可能と判断すれば、他院で抜歯と判断された歯でも残せる可能性があります。

②歯が支える骨がなくなった理由は細菌感染ですが、歯周病で多くの骨を失くした場合は歯根膜が失われています。歯根膜とは歯と骨を繋ぐ組織です。歯の周囲の骨はこの歯根膜が作っています。ですので、歯根膜を失っている歯は残すのが難しいです。
骨がなくなった理由が虫歯に由来する場合(根尖病変)は一見同じように骨がない場合でも歯根膜は残っている場合があります。
その場合は、細菌の感染を取り除くことで、失った骨が多かったとしてももう一度失われた骨が戻ってくる場合があります。

③歯根が縦に割れた場合、ヒビが入っている場合は、当院では、洗浄以外は何もしないか、抜歯するかの2択にしています。
中には一度抜歯して割れた歯を接着してから植え戻す歯科医師もいます。それでうまく残る場合も中にはあります。
しかし、やがてその処置をした多くの歯はまた破折してしまう事が多いからです。仮に、上に被せ物を保険で作って2年以内の場合は、抜歯後の歯を作る処置に保険が使えなくなります。自費診療で行う場合は費用が高くなりますが、永くもつ可能性が高くない治療に対してコストをかけるのが疑問だからです。

④残しておくことの周囲への悪影響とは、感染が隣の歯の周囲の骨を失うことです。誰でも歯は抜きたくないものですが、そのままにしておくことで感染が副鼻腔や下顎管などにまで及ぶと、厄介になります。真横に生えた親知らずなどが例として挙げられます。もし、守りたい歯の条件を悪くする場合は抜歯を選択します。

⑤具体的に言うと、全身疾患や服薬の影響で、抜歯を先送りする事がリスクとなる場合です。また、もう一度上に歯を作っても残っている歯質が少なくて咬ませる事で割れてしまう可能性が高い場合です。
例えば、その歯を残した治療計画で進め、後で抜歯をして治療をやり直すときに高齢で歯科医院に通う事が困難になる事が予想される場合や、骨粗鬆症の薬の影響による薬剤性の骨壊死のリスク、心臓疾患、認知症により誰も口腔衛生状態が保つのが難しく、いずれ抜歯となる事が予想される場合です。
これは未来の予測という不確定要素があるので、意見の分かれるところはあるかも知れません。

と、文章で書くと患者さんには難しいですね。
実際に来院頂いた患者さんには口腔内写真、レントゲン写真と過去の実例をお見せしながら、残す事が出来るか否か御説明させて頂きます。

初診の患者さんで歯科医院を変えて当院に何とか抜かずに出来ないかとみえられる方は本当に多いです。
私が神の手を持っているわけではなく、抜くと言われた理由を解決出来るか否かです。
やはり抜歯です、とお話した後に落胆される患者さんを見ると胸が痛みます。

抜かない為には
虫歯であれば「歯髄を取る処置まで至らないうちに修復する事」
歯周病であれば「進行させない事」
割れるのが原因であれば、「力がかかっている歯に対してできるだけ負荷をかけない事」

これに勝るものはありません。

抜くとなっても、運良く使わない親知らずがあり、代用できる条件を満たしていれば積極的に移植手術などをで出来るだけ周囲の歯を削らない様にしています。

歯科医院の中には、手を施せば残せる歯も抜いてしまい、そこにインプラント治療をする、という医院があります。
歯科医院を変えられる患者さんもそれをネットなどで知っているからセカンドオピニオンが増えているのだと思います。
たしかに、儲けのためにそういう事をする歯科医師も本当に少数ですがいますが、世の中の多くの歯科医師はそんな事はしません。
条件が厳しい歯を残すには患者さんの理解と協力が必要です。
良かれと思い、保存処置をしてみたが良い結果とならない場合もあります。

何か治療に踏み切る時は、患者さんの意思と理解を確認するコミュニケーションが重要だと日々思います。

同じ状況の歯でも歯科医師の持っているスキルの種類や、患者さんの意思、年齢、全身疾患の有無で違ってきます。

是非、聞きたいことが有れば遠慮なくお尋ねください。