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歯の豆知識2022.10.27

いわゆる「セラミック矯正」って何?

藤田ニコルさんで話題になった「セラミック矯正」ってどうなの?というご質問を受けたので、解説します。

セラミック矯正とは厳密に言うと矯正治療ではありません。

歯列矯正の原理を簡単にご説明します。

適切な力で歯根を圧迫すると歯根膜という部分で破骨細胞という骨を溶かす細胞が優位に働き骨を溶かします。骨がなくなるので、その位置に歯を動かすことができます。

逆に歯が動いて骨と歯の間に隙間ができたら、そこには骨芽細胞という骨を作る細胞が優位に働き、隙間を埋めてていきます。

矯正治療とは歯(歯根膜)に圧迫を加えたことにより起こる、体の反応を利用して歯が動くのです。

ですので、歯列矯正で歯を動かすのはどうしても時間がかかります。時間がかかります。一般的の1ヶ月に1ミリ位が動く量になります。

そして「セラミック矯正」

これは歯を動かすわけではありません。

歯を削って、綺麗に並んでいる様に見せるようにセラミックのクラウンを被せたり、ラミネートベニアと呼ばれる爪の様な歯を表面に貼り付ける治療のことです。

正確に言えば「審美補綴」という治療に分類されます。

マウスピース矯正でもワイヤー矯正でも歯を動かすので、特徴は

①症例によっては治療期間が長く、時間がかかる

②自由診療なので費用がかかる

③歯を削らないので生体に優しい

④どんなに上手に並べても多かれ少なかれ後戻りをするので保定装置を使用することが重要

 

かたやセラミック矯正、正確には「審美補綴」は

①歯を削って被せるので治療期間が歯列矯正と比べて短い

②自由診療なので費用はかかる

③歯を削るのが最大のデメリット。削った歯は元には戻せない。セメントで接着するのでセメントの劣化によって削っていない歯と比べて、二次的な虫歯を引き起こす可能性がある。

④歯を動かしていないので後戻りをしない

 

というそれぞれの特徴があります。

患者さんによって、求めているものは違います。特に、患者さんの要望に「早く」という時間の制約があった場合、どうしても歯を動かす歯列矯正では対応が難しいです。

ですからセラミック矯正こと「審美補綴」を全く否定することはありません。

私達町の歯医者は美容よりも病気と向き合う時間が長いので、都市部の歯科医院に来られる患者さんと価値観が違うのかもしれません。

削った歯を元に戻すことは出来ないし、歯の色や形によほど問題がない限りは美容目的で歯を削るのに抵抗があるのが正直な気持ちです。

ですので、もし歯並びが悪くなるのが早い段階で分かっているならば歯列矯正を始めて、時間の制約を受けずに健康な歯を守りつつも大人になった時には天然の歯で綺麗な歯並びを獲得出来ているとのが一番良いのではと思っています。