医院ブログと歯の豆知識

CLINIC BLOG & TOOTH KNOWLEFGE

医院ブログ2022.10.08

神様のカルテ

「神様のカルテ」

という、嵐の桜井翔さん主演の映画があります。

1、2とあり、先日Netflixで観ました。

長野県の病院で働く医師が地域医療の末端の現場で行う医療のお話です。

1では実力を認められた主人公は昼夜、休日を問わず臨床に追われる中で、1人の女性の患者さんの看取りを通して自分の思いに気付き、有名な教授に大学病院で最先端医療の研究に誘われるも断ります。

医師として認められた立場や報酬を得る事ができない環境に身を置いて働き続ける事を選択します。

2では、医療行為の効率化を無視する事は出来ず、収益になりにくく、自分の身を削って何とか成り立つ医療現場で、働く先輩が病に倒れ、見送るまでのストーリーが描かれています。その中で、「医師の人生を全て捧げて成り立つ医療への問題提起」も親友の家庭状況からされます。

私達歯科の開業医が直接的に命の終わりに直面する機会は少ないです。

だから人生全部を捧げて、というほど大袈裟ではありません。

しかし、骨粗鬆症の服用、全身疾患との関わり、多くの歯科疾患の原因である生活習慣の改善の問題等、自宅での終末期の医療などを開業して15年の中で経験してきました。

この映画は実は観たくて観たというより

「何となく」観たのですが、歯科医院を何の為に経営するのか、という「原点」について再度考え直すきっかけになりました。

医療は万能ではなく、また慈善事業でもありません。

一生懸命やっても、技術だけではどうにもならない事も沢山あります。

また、一生懸命やればやるほど採算が取れない治療もあります。

院長なので、従業員の生活、採用と育成、医院運営のことを無視する事は出来ず、むしろ医院として規模が大きくなっていく程、問題は膨らんでいきます。

きっと多様化し、かつ保健医療での収益化が難しいから

「虫歯が1日で治る」

「歯周病が1日で治る」

などの学生でも誇大広告だと分かる様な宣伝を行う歯科医院もあります。

それ自体はビジネスの手法であり、別に法を犯しているわけではない。

でも一度、スタッフや患者さんの信頼を失う様な方針を打ち出してしまったら、貼られたレッテルを剥がす事は出来ません。

私達歯科医療従事者は「何の為にその歯科医療行為を行うのか?」が明確で、それが患者さんに伝わっていなくてはならない。

出来る事はたとえ耳障りが悪いことで患者さんが怒っても、今起きている事実を伝えて、それに対しての選択肢を提示して、患者さんと自分達が考えるベストをやるしかないということです。

それでうまくいかないなら仕方がない。

色々、考慮すべき事は現代社会ではあるけれど、根本はシンプルにやるべきことをやる

その大切さをあらためて考えさせられた、映画鑑賞でした。